2022.04.14
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地震保険をしっかり受け取るために知っておくべきポイント!~基礎知識から鑑定士の査定方法まで徹底解説~

しかし、実際には「本来受け取れるはずの地震保険が受け取れていない」ケースが非常に多いです。
その原因の多くは—
・地震保険の仕組みを知らない
・保険会社の査定方法を誤解している
・鑑定士への伝え方を知らない
といった “情報不足” にあります。
この記事では、
地震保険を適正に受け取るために必ず知っておくべきポイント を、プロの視点で徹底解説していきます。
目次
- ○ 1.地震保険の知っておくべき基礎知識
- ○ 2. 地震保険の査定基準は4段階
- ○ 3. 地震保険の支払金額(割合)
- ○ 4. 鑑定士が行う「建物の査定方法」
- ○ 5. 鑑定士が行う「家財の査定方法」
- ○ 6.その他の地震保険のマメ知識(知らないと損)
- ○ 7. 地震被害時に必ずやるべきこと
- ○ 8. まとめ
1.地震保険の知っておくべき基礎知識
地震保険を請求する上で、しっかりと保険金を受け取るためには、地震保険の基礎知識や仕組みを知っておくことが大切です。
まず、地震保険の請求をした際に、
被害状況の確認をするために、保険会社から派遣される鑑定人が調査に来ますが、調査時の対応はもちろんですが、調査後の結果に不満がある場合に、基礎知識や仕組みを理解していないと不満を抱えたまま一方的な結果を受け入れざる負えなくなります。
また、地震保険で最も注意するべきポイントは、
地震保険は火災保険のように被害状況に応じて保険金が支払われるのではなく、ひび割れ(クラック)の長さや深さ、そして本数や時期、建物の傾斜などから損害割合を求め、一定の条件をクリアした場合のみ一定の割合で支払われます。
つまり、
地震保険は “修理費が10万円だから10万円出る” という仕組みではない のです。
ひび割れ・傾き・破損・家財の割合など、
鑑定士が算定する「損害割合」ありき で支払いが決まります。
だからこそ、
鑑定士が気づいていない被害を指摘できることが非常に重要となり、鑑定士の判断ひとつで認定されないということにもなり兼ねません。
そのような事態にならないよう基礎知識や仕組みを理解しておくようにしましょう。
2. 地震保険の査定基準は4段階
地震保険の建物は、以下の4段階で認定されます。
【建物】認定基準
■ 全損
主要構造部の損害額が時価の 50%以上
■ 大半損
主要構造部の損害額が 40〜50%未満
■ 小半損
主要構造部の損害額が 20〜40%未満
■ 一部損(支払いの最低ライン)
主要構造部の損害額が 3〜20%未満
【家財】認定基準
家財は割合が大きく異なります。
■ 全損:時価の80%以上
■ 大半損:60〜80%未満
■ 小半損:30〜60%未満
■ 一部損:10〜30%未満
3. 地震保険の支払金額(割合)
建物・家財ともに以下の割合で支払われます。
全損:保険金額の100%
大半損:60%
小半損:30%
一部損:5%
例:建物の地震保険2,000万円の場合
→ 一部損 =100万円
→ 小半損 =600万円
→ 全損 =2,000万円
🔍POINT
一部損に届かない=いくら被害があっても 0円。
火災保険は契約している金額を上限に実際の損害が支払われますが、地震保険では、一定の基準に満たしていないと保険金は支払われません。したがって損害があっても一部損以下の場合は保険金の支払いはありません。
また、地震保険は一定の割合で保険金が支払われるため、被害箇所の修繕費に満たないケースもあれば、被害額より多くの保険金が支払われるケースがあります。
例えば、10万円の寝具が壊れた場合、一部損で50万円受け取れるというケースや修理費用100万円の被害にも関わらず、一部損で50万円しか支払われないというケースがあります。
4. 鑑定士が行う「建物の査定方法」
鑑定士は、家の 主要構造部 を中心に調査します。
主要構造部とは?
・基礎
・壁(耐力壁)
・柱・梁
・床
・屋根
以下の項目から損害割合を算出します
・ひび割れの 長さ
・ひび割れの 深さ
・ひび割れの 本数
・破損の範囲
・建物の傾斜(特に重要)
⚠️ よくある“受け取れない”ケース
鑑定士が見落としている
→ 所有者が指摘しなければ査定に含まれない
ここが、本当に多い「受け取り漏れ」です。
あなたの家にまだ査定されていない被害がある可能性は大きいです。
5. 鑑定士が行う「家財の査定方法」
家財の場合は、一部損でも時価の10%以上にならないと該当しないため、テレビが倒れて故障したとしても保険金を受け取れるわけではありません。
さらに家財の査定方法は、故障したテレビの価格などで査定するわけではなく、基本的には家財を大きく5つに分類し、分類ごとに損害を確認し、合計の損害パーセンテージを算出します。
分類①食器陶器類 食器・陶器置物・食料品・調理器具など
損害パーセンテージ<1点あたり1%/最大5%まで>
分類②電気器具類 冷蔵庫・洗濯機・パソコン・TV・エアコンなど
損害パーセンテージ<1点あたり2.5%/最大20%まで>
分類③家具類 食器棚・タンス・机・椅子・ソファーなど
損害パーセンテージ<1点あたり4%/最大20%まで>
分類④その他身の回り品 カメラ・靴・鞄・スポーツ用品・レジャー用品など
損害パーセンテージ<1点あたり2.5%/最大25%まで>
分類⑤衣類寝具類 衣類・寝具など
損害パーセンテージ<1点あたり15%/最大30%まで>
この分類別のパーセンテージで算出し、10%以上ではじめて一部損として保険金が支払われるということになります。
例えば、食器が10枚割れても最大5%になりますので、一部損は認めてもらえません。
しかし、寝具が壊れた場合は、1点あたり15%になりますので、その時点で一部損として認定されます。
更には、例えば10万円で購入した寝具が壊れた場合に、保険金で被害額以上の50万円受け取れるケースもあれば、地震被害を受けていても一部損に満たないため保険金を受け取れないケースもあります。
6.その他の地震保険のマメ知識(知らないと損)
■地震保険請求の1回の地震の考え方
地震が発生した場合、余震があるケースがあるため、2つ以上の地震が発生した場合でも地震保険請求の場合は1回と考えます。
■全損認定の場合は契約終了
火災保険はもちろん、地震保険においても全損の場合は、建物自体を失っていることからも保険契約は終了となります。
■地震保険の総支払限度額は決っている
地震保険は国が保険金の支払いの一部を負担する(再保険)契約を保険会社は政府と結んでおり、総支払額に限度額が設けられています。2021年4月時点では1回の地震で12兆円(2021年4月現在)が限度額となりまして、限度額を超える損害が発生したときには、個々に支払われる保険金の額が減額されることがあります。
■地震保険の契約金額
火災保険の契約金額の30~50%の範囲で設定し、建物は5000万円、家財は1000万円が限度となっています。
7. 地震被害時に必ずやるべきこと
✔ 1. 片付ける前に必ず写真を撮る
・破損の状態
・位置関係
・ひびの大きさ
・広角・寄りの両パターン
✔ 2. 家財は捨てない
→ 写真がないと認定されない場合多数
✔ 3. すべての“気になる箇所”をメモしておく
→ 鑑定士は申告されないと見ないことが多い
8. まとめ
地震保険は
修理費でなく損害割合で決まる特殊な保険 です。
そのため、
・基礎知識
・査定基準
・鑑定士の見方
これらを知らないだけで 本来は受け取れたはずの保険金を逃してしまう ことが本当に多くあります。
✔ 一部損を1%下回っただけで「0円」
✔ 鑑定士が見逃したら本来の認定が受けられない
✔ 家財は種類別の割合計算(知らない人が99%)
正しく知れば、地震保険はあなたの生活を守る非常に強力な制度になります。
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