2021.08.25
ブログ
新着情報
火災保険がおりない原因は?支払われないとき・保険会社の説明や対応に納得できないときの対処法

火災保険は、火事だけでなく台風・大雪・洪水など、さまざまな自然災害から私たちの住まいを守ってくれます。
しかし、
「保険金を出せないと言われた」
「経年劣化と言われて認定されなかった」
「補償されると思っていたのに、全額は出ないと言われた」
「火災保険がおりない理由に納得できない」
といった声もたくさん聞きます。
この記事では、
火災保険がおりない主な原因
「補償対象なのにおりないケース」と「そもそも対象外のケース」の違い
納得できない場合の具体的な対処法
まで、分かりやすく解説していきます。
目次
- ○ まず最初に確認するべきは「補償範囲」、おりない理由の多くは補償対象外
- ・「建物」と「家財」が補償されているか?
- ・「どの自然災害」が補償されているか?
- ○ 火災保険がおりない原因【補償対象なのにおりないケース】
- ・① 故意・重大な過失・法令違反による損害
- ・② 損害の原因が3年以上前の災害によるもの
- ・③ 免責金額に満たない損害
- ○ 火災保険がおりない原因【そもそも補償対象ではないケース】
- ・④ 経年劣化による損害
- ・⑤ 地震・噴火・津波による損害
- ・⑥ 施工不良・手抜き工事による損害
- ・⑦ 該当する自然災害の補償に入っていない
- ・⑧ 機能に支障をきたさない軽微な被害
- ・⑨ 火災保険加入前からあった被害
- ・⑩ 一度おりた火災保険で修理をしていない
- ○ 火災保険が支払われない・納得いかないときの対処法
- ・① 追加の資料・書類を提出する
- ・② 保険会社のお客様センターに相談する
- ・③別の鑑定人による再調査を依頼する
- ・④ そんぽADRセンターに相談する
- ・⑤ 弁護士に相談・交渉を依頼する(最終手段)
- ○ それでも不安な場合は「保険の見直し」も検討を
- ・見直しのときにチェックしたいポイント
- ○ まとめ|「おりないから終わり」ではなく、理由と対処を知ることが大切
まず最初に確認するべきは「補償範囲」、おりない理由の多くは補償対象外
火災保険がおりない理由として非常に多いのが、
そもそもその被害が「補償対象外」だった
というケースです。
申請の前には、必ず 自分の契約内容(保険証券・約款・重要事項説明書) を確認しましょう。
「建物」と「家財」が補償されているか?
火災保険の補償対象は、大きく分けて2つです。
建物:家そのもの、付帯設備、外構など
家財:家具、家電、衣類、日用品・什器など
例:
「建物のみ契約」の場合 → 家電の故障は補償されない
「家財のみ契約」の場合 → 屋根や外壁の損傷は補償されない
「どの自然災害」が補償されているか?
以下の補償が付帯されているかどうかも重要です。
・風災補償:台風・強風・突風など
・雪災補償:積雪・雪の重みなど
・水災補償:洪水・浸水・土砂崩れ・高潮など
・地震保険:地震・噴火・津波による損害(火災保険とは別枠)
「入っているつもりになっていたが、実は特約を付けていなかった」というケースも少なくありません。
火災保険がおりない原因【補償対象なのにおりないケース】
「補償内容には該当しているはずなのに、おりない・減額された…」
そんなときに多い理由が、次の3つです。
① 故意・重大な過失・法令違反による損害
自然災害ではなく、契約者の故意や重大な過失、法令違反が原因で起きた損害は、火災保険の対象外です。
・給付金目当てで、わざと雨樋を曲げる
・危険と分かっていて寝タバコを続け、火災になった
・ストーブの前に可燃物を置いたままにして火事になった
このような「本来避けられたはずの損害」は、重大な過失や故意と判断され、保険金は支払われません。
② 損害の原因が3年以上前の災害によるもの
一般的に火災保険は、被害発生から3年以内が請求の目安です。
・「3年以上前の台風が原因」と判断される
・「いつから被害があったのか不明」と評価される
このような場合、時効・請求期限の問題でおりないケースがあります。
※例外的に、大規模災害(例:東日本大震災)では特別対応が行われることもありますが、基本は「早めの申請」が重要です。
✍【火災保険申請ガイド】火災保険の時効「3年ルール」について解説
③ 免責金額に満たない損害
火災保険には「免責金額」が設定されていることがあります。
免責金額とは、簡単に言えば 自己負担額 のことです。
・免責10万円 → 損害額が10万円を超えないと保険金はゼロ
・免責20万円 → 損害額20万円以上で初めて支払い対象
さらに、免責には2パターンあります。
■フランチャイズ方式
免責額を超えたら、査定額が全額支払われる方式
免責20万円/査定額10万円 → 0円
免責20万円/査定額30万円 → 30万円支払い
■免責方式
査定額から免責額を差し引いた残りが支払われる方式
免責20万円/査定額30万円 → 10万円支払い
契約書や約款で、自分の契約がどちらの方式か・免責はいくらかを必ず確認しておきましょう。
火災保険がおりない原因【そもそも補償対象ではないケース】
次に、契約内容や保険の性質上、そもそも対象外となる典型的な理由をまとめます。
④ 経年劣化による損害
「経年劣化なので対象外」と言われるケースは非常に多くあります。
火災保険は、不測かつ突発的な事故による損害を補償する仕組みです。
そのため、以下は対象外となります。
・年月の経過による外壁の色あせ・ひび割れ
・コーキングの痩せ・隙間からの雨水侵入
・古い屋根材・設備の寿命による損傷 など
ただし、
「経年劣化 × 自然災害が引き金」となるケースもあり、原因の切り分けが非常に重要になります。
⑤ 地震・噴火・津波による損害
地震・噴火・津波による被害は、火災保険ではなく地震保険の補償範囲になります。
・地震で壁にひびが入った
・津波で家が浸水した
・地震が原因で火災が起きた
これらは原則、火災保険ではおりません。
地震の多い地域にお住まいの場合は、地震保険の加入状況を改めて確認しておきましょう。
⑥ 施工不良・手抜き工事による損害
・新築後すぐ壁にひびが入った
・雨漏れの原因が、防水施工不良だった
などのケースは、自然災害ではなく施工不良と判断されるため火災保険では補償されません。
この場合は、
・ハウスメーカー・工務店の保証期間内であれば、そちらでの無償(または一部負担)修理の可能性
・経年劣化であれば、どちらでも補償対象外
となるため、原因の特定が非常に重要です。
⑦ 該当する自然災害の補償に入っていない
補償内容にその災害種別が含まれていない場合、どれだけ被害が大きくても保険金は支払われません。
・風災補償なし → 台風による屋根の損傷はNG
・水災補償なし → 洪水による床上浸水はNG
・地震保険なし → 地震によるひび割れはNG
特に、保険料を抑えるために補償を絞っている場合は、
「何が付いていて、何が付いていないのか」を再確認しておきましょう。
⑧ 機能に支障をきたさない軽微な被害
火災保険は、生活機能に支障をきたす損害の補償が基本です。
そのため、次のようなケースは対象外になることがあります。
・床に付いた小さな擦り傷
・壁の軽いへこみや汚れ
・外観上の小さなキズで、使用には問題がないもの
ただし、「どこまでが機能的な支障か」は専門的な判断が必要な場合も多く、
判断に悩む場合は 専門家や申請サポート業者への相談も選択肢になります。
⑨ 火災保険加入前からあった被害
中古住宅を購入した際など、保険加入前から存在していた損傷は火災保険の対象外です。
・購入時点で、すでに外壁が割れていた
・以前から雨漏りしていたが、そのままにしていた
このようなケースは、「加入後の事故」に該当せず支払い対象になりません。
中古物件購入時には、
・当時の状態を写真で残す
・気になる部分は事前に売主・業者に確認
などの対策が重要です。
⑩ 一度おりた火災保険で修理をしていない
火災保険は、被害ごとに何度でも申請可能ですが、
「過去に同じ箇所で保険金が支払われているのに、そのとき修理をしていなかった」
という場合、同じ箇所について繰り返し請求することはできません。
逆に、
一度目の給付金でしっかり修理し、修理後の領収書・完了報告書・写真を保管まで
しておけば、新たな被害として再度申請できる可能性が高くなります。
火災保険が支払われない・納得いかないときの対処法
「おりないと言われたけれど、本当に諦めるしかないの?」
そんなときに取るべきステップを整理します。
① 追加の資料・書類を提出する
まずは、保険会社の見解を文書でもらうことが第一歩です。
・否認・減額となった理由
・鑑定結果の明細
などを確認し、必要であれば
・被害状況の追加写真
・専門家による調査報告書
・見積書・図面・過去の修繕履歴
を添えて「再検討」を依頼します。
自分だけで資料を準備するのが難しい場合、
火災保険申請サポート業者や建築の専門家に調査・報告書作成を依頼するのも一つの方法です。
② 保険会社のお客様センターに相談する
担当者レベルで話が止まっている場合は、
保険会社のお客様相談窓口(コールセンター)への相談も有効です。
・担当支社・代理店の判断だけで終わっていないか
・社内で再検討・再調査の余地はないか
を確認してもらうことで、結果が変わるケースもありますが、あまり見込めないことが多い。
③別の鑑定人による再調査を依頼する
・鑑定人の判断で否認・減額された
・説明を聞いてもどうしても納得できない
こんな場合には、セカンドオピニオンとして再調査を依頼することも可能です。
別の鑑定人が現地を見直すことで、
・損害の評価が変わる
・認定額が増える
・一部否認が覆る
といったケースも実際にあります。
④ そんぽADRセンターに相談する
それでも納得できない場合は、
日本損害保険協会の「そんぽADRセンター」という第三者機関に相談する方法があります。
・損害保険(火災保険を含む)全般の苦情・紛争解決を扱う機関
・利用料は原則無料
・保険会社とは中立の立場で相談・あっせんを行う
「保険会社がそう言うなら諦めるしかない」と思ってしまいがちですが、
一度このような第三者機関に相談してみるのも選択肢の一つです。
⑤ 弁護士に相談・交渉を依頼する(最終手段)
・金額が非常に大きい
・どうしても納得ができない
・そんぽADRでも解決しなかった
という場合は、弁護士への相談が最終手段となります。
ただし、
・着手金・成功報酬などの費用がかかる
・必ずしも希望通りの結果になるとは限らない
といった点も踏まえたうえで、状況に応じて検討しましょう。
それでも不安な場合は「保険の見直し」も検討を
複数回にわたって火災保険の支払いに不安や不満が残る場合、
・保険会社との相性
・不払いの実績・評価
・補償内容と保険料のバランス
を見直すタイミングかもしれません。
見直しのときにチェックしたいポイント
・現在の補償内容(風災・水災・雪災・地震など)
・免責金額と方式(フランチャイズ or 免責方式)
・建物・家財の保険金額と実態のズレ
・口コミ・評判・事故対応の評価
複数の保険会社で一括見積もりをとり、
・補償内容
・保険料
・事故対応の安心感
を総合的に比較するのがおすすめです。
まとめ|「おりないから終わり」ではなく、理由と対処を知ることが大切
最後に、ポイントを整理します。
火災保険がおりない原因の多くは
「補償範囲外」か「条件を満たしていない」
のどちらか
代表的なおりない原因
・故意・重大な過失・法令違反
・被害発生日から3年以上経過
・免責金額に満たない損害
・経年劣化
・地震・噴火・津波など地震保険の範囲
・施工不良・手抜き工事
・該当する自然災害の補償に未加入
・機能に支障のない軽微な損傷
・保険加入前から存在していた被害
・過去に給付され、修理していない同一箇所
それでも納得できない場合は、
・追加資料の提出
・保険会社お客様センターへの相談
・鑑定人の再調査依頼
・そんぽADRセンターへの相談
・必要に応じて弁護士相談
というステップを踏むことで、結果が変わる可能性もあります。
シェアする

